皆さん、おはようございます。
【これからの社長夫人は会社経営のプロになれ!】の著者で社長夫人戦力化コンサルタントの矢野千寿です。
今日からA社とB社のケースを具体的に見ていきましょう。
両者とも製造業ですから、付加価値は「限界利益」で見ていきます。
「限界利益」は、売上高から変動費を引いたものであり、製造業において損益分岐点を分折するための指標となるものです。
A社の一人当たり労働生産性は、20期が663万5000円、21期が535万1000円、22期が615万1000円です。
800万円以上が目標ですから、けっして望ましい数値とは言えません。
一人当たりの人件費はほぼ横ばいでありながら、労働分配率が上昇傾向にあるのも問題です。
そのため、一人当たりの営業利益は40万円以下の落第点となってしまいました。
安全性の分析では財務体質がきわめて良好であり、収益性の面でも優秀だったA社ですが、成長性と生産性に問題のあることがあきらかになりました。
すでに成長が止まり、安定期に入っているのです。
これまでの戦略や戦術では限界が見えてきたということです。
この壁を乗り越えるために、A社は何をすればよいのでしょう。
まずは、現状のなかから利益の取りこぼしを防がなければなりません。
たとえば、クレームの発生率を低下させたり、残業時間の短縮をめざした取り組みが必要になります。
もちろん、一人当たり、時間当たりの付加価値を高める努力が不可決です。
そのためには、経営者と経営幹部が改めて意思の統一を図り、社員の意識改革に取り組むむこと。
また、効果的な配置転換によって社員の潜在能力を活用することも考えるべきでしょう。
しかし、将求の発展まで見据えた場合には、抜本的なイノベーション(革新)への取り組みが必要です。