皆さん、おはようございます。
【これからの社長夫人は会社経営のプロになれ!】の著者で社長夫人戦力化コンサルタントの矢野千寿です。
B社の場合、一人当たりの労働生産性は40期が881万9000円、41期が768万3000円、42期が740万5000円。
A社よりはいい数値ですが、利益が出るぎりぎりのラインである800万円前後で変動しており、1000万円には届いていません。
A社同様、一人当たりの人件費がほぼ横ばいでありながら、労働分配率が上昇傾向にあるのも問題で、それは付加価値(限界利益)が減少傾向にあることからもわかります。
ただし、一人当たりの営業利益は「優」レベルの81万3000円となっています。
安全性の分析、収益性の分析ではかなり厳しい結果が出たB社ですが、それは自己資本の3倍もの投資を行い、足りない資金を借入金で補ったためでした。
その結果が、総資本経常利益率0.2%というきわめて低い数値だったのです。
しかし、一人当たりの営業利益が高いということは、少数精鋭の体制で社員ががんばって働いてくれているということです。
にもかかわらず、一人当たりの経常利益が41期、42期とも5万3000円という極端に低い金額となっているのは、やはり支払利息や営業権償却などの費用が利益を圧迫しているためです。
これは、あきらかに政策上の問題であり、社員の貢献が足りないせいではありません。
「過去の負の清算」の負担がどれほど思いかがよくわかるのではないでしょうか。
私はB社の社長夫人に社員に感謝しなければいけないと言っています。
B社には、今後、取り組まなければならない課題が充満しています。
たとえば、「我流の経営」から「基本に精通した経営」への転換、経営ビジョンの明確化、全社が一体となり、目標を実現するための中長期計画の作成と社内風土の構築、コスト意識の徹底、社長夫人の役割と責任の明確化・・・。
A社の場合と同様、B社でもまだまだ利益の取りこぼしがあると考えられますが、数字だけ見ていても、何も改善はできません。
数字を変えるためには、意思と行動が必要です。
具体的な課題を見つけ、一つひとつ解決していかなければ、生産性は向上しませんし、企業の体質も変わりません。
また、B社の業務には、大きく分けて建築部門と燃料部門、別荘管理部門があります。
現在、もっとも付加価値率が高いのはやはり別荘管理部門だと考えられます。
今後、力を入れていくべきでしょう。