皆さん、おはようございます。

【これからの社長夫人は会社経営のプロになれ!】の著者で社長夫人戦力化コンサルタント矢野千寿です。

 

前回に引き続き、E社の事例です。

私はこの会社と顧問契約していただいて、3年間改善のお手伝いをしました。

改善の手順は次のようなものです。

1.正しい月次決算をさせる

正しい月次試算表ができているか確認をしたところ、全くできていない状態でした。

正しい月次試算表を作成するのは、経営判断をするための基本です。

私は、経理の担当者であるパートの女性に、月次決算を習慣化させ、月次試算表を翌月7日までに仕上げることと、決算については30日決算(決算目の翌日から30日以内に申告書を仕上げること)を目指す指導をしました。

2.改革のキーマンを決める

改革には社内でキーマンとなる人が必要です。

私は後継者の育成をかねて息子さんをキーマンと決め、彼に現状を説明し、1000万円の利益を出さなければならないことを伝えました。

当時の彼は経営者の目線ではなく、どちらかというと社員目線に立っていて、経営不振に陥らせた両親に対して批判的でした。

彼は私に、「なぜそんなに利益を出さないといけないのか」と質問してきました。

そこで私は、期待される成果を話しました。

(1)将来この会社を継ぐときに借入金はできるだけ少ないほうがよいこと

(2)今、債務超過が4500万円あるので、毎年1000万円の利益を出せば5年で解消できること

(3)税務上の繰越欠損があるので4500万円の利益を出しても、税金はかからないので資金が残せること

(4)まだ両親も頑張れる年齢なので一緒に頑張れば会社を清算することはない。
逆に会社を救うこともできるし、借入金も返済できる。社員も幸せにすることができること

彼は、私の話を聴いて納得し、覚悟ができたようでした。

「借入もきちんと返したいし、働いてくれている社員も幸せになってもらいたい。自分の夢もあるので頑張ります」と言ってくれました。

3.改善の手がかりを掴む方式

1000万円の利益を上げるためには、それに対応する売上が必要です。

現状の売上で利益が450万円あるわけですから、不足する利益は550万円です。

採算性を見る場合、どの部門や事業所が利益を出していて、どの部門が採算が取れていないかを分析すると、新たな可能性を見出すことができます。

E社の場合は、A店とB店と寿司の部と3つの部門管理を行うことになりました。