皆さん、おはようございます。
【これからの社長夫人は会社経営のプロになれ!】の著者で社長夫人戦力化コンサルタントの矢野千寿です。
「企業は人なり」という言葉がありますが、事実、企業が収益を上げるのも、成長発展を遂げるのも、人の力によるところが大です。
トップの姿勢はもちろんのこと、そこで働く社員の価値観や仕事観、能力などによって企業のレベルは違ってきます。
昔、ある会社の社長から「いくら社員ががんばってくれても数字には表れませんね」と言われたことがあります。
私はこう答えました。
「いいえ、すべて数字に表れますよ」
ここでも、そういう視点から生産性についてお話ししたいと思います。
社員のがんばり度を見せてくれるのは「労働生産性」という指標です。
労働生産性は、付加価値(売上総利益)を従業員数や人件費、労働時間などで割ることで求められます。
たとえば、平均従業員数で割ったものが「一人当たり労働生産性」、人件費で割ったものが「資金生産性」、労働時間で割ったものが「時間生産性」、人員×労働時間で割ったものが「人・時間生産性」です。
なかでもとくに重要なものが、一人当たり労働生産性です。
これは、文字どおり従業員一人当たりの付加価値を見る指標であり、その会社の体質や社員の仕事の効率がわかります。
この数値が低いのは、稼ぎのよくない「扶養家族」が多いということ。
そのような会社は、いずれ動脈硬化を起こし、機動力を失っていきます。
一人当たり労働生産性は、前述したように付加価値(売上総利益)を平均従業員数で割ることで求められます。
一人当たりの労働生産性=付加価値÷平均従業員数
この場合の「従業員数」は1日8時間労働が基準です。
したがって、4時間勤務のパート社員の場合は0.5人と数えます。
「平均従業員数」は、毎月の従業員数を足し、経過月数で割って求めます。
一人当たり労働生産性の目安は年間800万円以上です。
通常、800万円を超えると利益が得られ、1000万円以上になれば、会社経営にもかなり余裕が出てきます。
500万円から600万円程度では、なかなか利益が出ません。
社員のがんばり度を見るための指標として、もう一つ覚えておいてほしいのが、一人当たりの営業利益です。
これは、営業利益を平均従業員数で割ることで求められます。
一人当たり営業利益=営業利益÷平均従業員数
社員がいくらがんばって売上を上げても、販売費がかかり過ぎて利益が残らないようでは評価できません。
その意味で一人当たりの営業利益は、会社に対する社員の貢献度をもっともよく表している指標です。
目安としては、年間100万円以上なら「秀」、80万円から90万円台が「優」、60万円から70万円台が「良」、40万円から50万円台は「普通」、それ以下は「落第」です。
ただし、一人当たり営業利益も社員個人の努力だけで決まるわけではなく、管理面の問題や経営政策が影響することもあるので、その点からの分析も必要です。