皆さん、おはようございます。
【これからの社長夫人は会社経営のプロになれ!】の著者で社長夫人戦力化コンサルタントの矢野千寿です。
「収益性」の分析は少々複雑でとっつきにくいかもしれません。
しかし、ここががんばりどころです。
会社の収益性を分析し、帳簿をつけているだけでは気づかない課題や問題点を発見して、社長に報告する。
これが、社長夫人のとても重要な役割だからです。
ある会社で実際にあった話をご紹介しましょう。
その会社では、経常利益が減り続け、ある年、ついに500万円の赤字を出しました。
経理の責任者だった社長夫人は、当然、赤字に転落した事実を知っていたはずです。
ところが彼女は、自分では何の分析もせず、何の問題追求もしないまま。
私の事務所に帳簿を送ってきました。
私は驚きました。
初めて赤字に陥ったというのに、なぜそんなに淡々としていられるのでしょう。
なぜ、経常利益が減った原因を自ら追求しようとしないのでしょう。
調べてみると、原価が前年より5%も上がっています。
これは大きな問題です。
なぜ原価がそんなに増えたのか、社長夫人はその理由を確認したのでしょうか。
固定費も前年と比較して200万円も増えていました。
どうしてもっと厳しくコスト管理をしないのでしょう。
自分は何も考えず、ただ帳簿をつけているだけ。
問題があれば誰かが解決法まで教えてくれると思っていたのでしょうか。
彼女は、社長に対しても何も報告していませんでした。
ですから社長は、500万円の赤字が出たことすら知らなかったのです。
もし私が社長夫人を叱責し、社長に報告させていなければ、社長は何の手を打つこともできなかったでしょう。
数字は、計算して記録するだけでは何の意昧ももちません。
帳簿も、毎日、数字を記録するだけでは意味がありません。
内容を分析し、問題点を掘り起こし、改善に結びつけることができて初めて、経営に役立ったと言えるのです
そのために行うのが経営分析です。
安全性にせよ、収益性にせよ、数字が出たら、かならず前年と比較し、変化があれば「なぜ」を考えなければなりません。
そして、見つけた答えを社長に報告し、経営判断の材料を提供する。
それが社長夫人の役割なのです。