皆さん、おはようございます。

【これからの社長夫人は会社経営のプロになれ!】の著者で社長夫人戦力化コンサルタント矢野千寿です。

 

前回ご紹介したE社のような水産小売業の場合は、新しい店舗を出すという戦略もありますが、新店舗を出すにも資金が必要です。

ふたたび失敗すれば、さらに数千万円の借金を背負う恐れもあります。

私たちは、既存店舗で売上アップを図るほうが確実だと判断しました。

そして、少なくとも600万円の利益を挙げるために、どうやって新規の売上をつくろうかと考えていたところ、後継者である息子さんがすばらしいアイデアをあたためていたことがわかりました。

彼は「ゆくゆくは魚屋さんのお寿司を売りたい」と考え、実際、仕事の合間に寿司づくりを習っていたのです・

店頭で寿司を売ることで5万円の売上がたてば、25日間で125万円になります。

仮に売上総利益率が50%とすると、毎月の売上総利益62万5000円ですから、年間750万円と試算できます。

この目論見は見事に当たりました。

試算どおり、その年の経常利益は約1200万円に達したのです。

翌年以降、寿司部門は店頭販売だけでなく企業の会議用の弁当や仕出しにまで展開し、さらにそれが鮮魚の宅配にも結び付きました。

その後、あるスーパーがオープンすることになり、3店舗目をその中に出しました。

中規模のスーパーマーケットで、店舗面積もかなりあります。

私はフロアの一角にある調理場に目をつけました。

それまで使っていたのは冷蔵庫とシンクだけのようですが、他に大きな調理台やガス台もそろっています。

この調理場を使えば、二次加工品や三次加工品も販売できるではありませんか。

私は社長夫人とよく話し合い、まずは寿司職人を雇って、持ち帰り用の寿司を売ることにしました。

すると、どうでしょう。

初めて店に並べたその日から、連日売り切れの大盛況となったのです。

今後は煮魚や焼き魚にも手を広げていく予定ですが、この店舗が黒字転換するのはもう確実な気配です。

E社全体の営業利益も大きく改善し、借入金を返済する見通しも立ちました。