皆さん、おはようございます。
【これからの社長夫人は会社経営のプロになれ!】の著者で社長夫人戦力化コンサルタントの矢野千寿です。
それでは、新規事業を始める際に行うべき採算性の分析についてお話ししましょう。
採算性の分析では、まず損益分岐点を算出します。
「損益分岐点」とは、収益と費用がとんとんになる売上高のことです。
経費を収益(売上高)で回収したうえで、さらにブラスが出れば黒字、マイナスの場合は赤字になるわけですが、その分かれ目となる過不足ゼロの売上高が「損益分岐点売上高」です。
損益分岐点を求める作業を手順に沿って一つひとつ順に説明していきましょう。
(手順1)販売管理費を固定費と変動費に分解する
(手順2)製造費用を固定費と変動費に分解する
まず、すべての費用を固定費と変動費に分けます。
「固定費」とは、売上額の変動に関係なく、毎月決まってかかる経費のことで、地代家賃や賃借料、保険料、事務員給与、福利厚生費、役員報酬などがあります。
一方、「変動費」は、売上高に応じて変動する経費のことで、材料費や買入部品、外注工賃などがあります。
ためしに、あなたの会社の総費用を、販売管理費(手順1)、製造費(手順2)の順で、固定費と変動費に分けてみましょう。
販売員給与、広告宣伝費、販売促進費、旅費交通費、通信費、光熱費などのように、どちらとも決めにくい経費もありますが、実際には勘定科目の名称も分類の基準も会社の方針によって違うでしょうから、決算などで使用している勘定科目に合わせてください。
一般的な基準で言えば、「労務費」などの固定給は固定費ですが、「残業手当」や「出来高給」は変動費となります。
「水道光熱費」や「動力費」も、基本料金は固定費ですが、その他は変動費です。
「福利厚生費」などの付加給付は、給与賃金と同じ割合で固定費と変動費に按分することができます。
「雑費」などは、固定費と変動費に2分の1ずつ分けてもよいでしょう。
「直接材料費」や「買入部品」[外注工賃]「間接材料費」「その他の直接経費」などは、基本的には変動費と考えられますが、社長や社長夫人の考え方しだいで、固定費に近いものは固定費、変動費に近いものは変動費とみなしてかまいません。