皆さん、おはようございます。
【これからの社長夫人は会社経営のプロになれ!】の著者で社長夫人戦力化コンサルタントの矢野千寿です。
売上総利益は、売上から売上原価だけを差し引いた利益です。
5つの利益のなかでももっとも大きく、「粗利益」とも呼ばれます。
人件費も、販売管理費も、支払利息や借入金の返済も、売上総利益の範囲内で賄わなければなりません。
逆に言えば、さまざまな用途に「使えるお金」ということでもあります。
したがって売上総利益の場合は、利益率も大切ですが、利益額そのものも非常に重要となってきます。
「売上総利益率」は、その売上総利益を売上高で割り、100をかけた数値です。
売上総利益率(%)=売上総利益÷売上高×100
この指標も業種業態によって異なりますので、自分の会社の数値が適正であるかどうかは業界平均や同業他社の数値と比較してみるとよいでしょう。
同じ業種でも直販店と代理店では違いますし、建設業などの場合には元請か下請かでも違ってきます。
一般には、売上総利益率(額)が大きいほど資金に余裕があるわけですから、将来のための投資活動も積極的に行えます。
さて、A社とB社は同じ製造業で、売上もほぼ同じですが、売上総利益率にはかなりの違いがありました。
A社は売上高が2億3404万5000円で、売上総利益が7358万2000円ですから、31.4%。
B社は、売上高が2億3915万1000円で、売上総利益が4463万7000円ですから、18.7%。
やはり、A社のほうがかなりよい数値を示しています。
粗利益の段階で10%以上も違うのは、両社が生産する付加価値に大きな違いがあることを示しています。
粗利益は売上高全体に占める割合が大きいため、率で1~2%違うだけでも金額がかなり違ってくるのです。
「粗利益を1%アップすることの効果」については以前でもお話ししました。
取り上げた事例のように財務状態が悪化していた食品関係の卸会社では、粗利益率を1%上げることで2000万円もの利益を出すことに成功。
半年で資金回復しました。
もちろん今の時代、商品の価恪を1%上げるのは容易なことではありません。
しかし、その1%をさらに細分化して、仕入単価や販売管理費などを少しずつ削減し、会社全体で1%の費用をカットするのは可能でしょう。
社員全員のコスト意識が高まれば、粗利益率1~2%程度上げるのはけっしてむずかしいことではないのです。
B社の場合も、もう一度、原点に戻って、売上減価を構成する材料費、外注費、労務費、その他の製造経費などの項目を一つひとつチェックし、無駄はないか、適正な付加価値を生み出しているかを確認していく必要がありそうです。
まだまだ内部にも利益の取りこぼしがあるはずです。
私はよく会社経営をパイプの煙にたとえます。
吸い口が今期の決算書。そして、もくもくと煙の出る状態が来期の決算書。
つまり1年間の経営活動の成果です。
煙が上がらないのはどこかで詰まっている証拠ですから、バイプの中を点検しなければなりません。
経営がうまくいかないときは、パイプの中を点検してみましょう。
経営者の理念と方針、そして意思決定は明確か
理念や方針を共有するナンバー2や幹部社員は育っているか
営業社員を含め、現場の社員の育成と意識改革に取り組んでいるか
生産性の向上をめざした職場環境が整っているか
社員の努力が認められる、働き甲斐のある評価制度があるか
業績管理の仕組みは整っているか
経営判断に役立つ資料づくりができているか・・・。
以上の条件が満たされていれば、かならず業績は好転するはずです。