皆さん、おはようございます。
【これからの社長夫人は会社経営のプロになれ!】の著者で社長夫人戦力化コンサルタントの矢野千寿です。
会社の安全性を分析する方法と、その改善策について説明していくことにしましょう。
二つの会社に登場していただきます。
北目本の大都市で看板制作などを営んでいる商業デザインのA社と、
中部地方の有名避暑地で建設業を営むB社です。
どちらの会社も、社長夫人が私の「社長夫人革新講座」の受講生であり、そのご縁で経営のお手伝いをしています。
A社は創業22年、売上は年間2億3400万円で、従業員は25名。
創業者である社長は国の展覧会などに数回入選されるなど、芸術家としても優れた才能の持ち主です。
また営業センスに長けた聡明な社長夫人、そして社長のデサインを形にするディレクターの役割を担う部長(社長の弟)、
それぞれの才能を一つにすれば3本の矢となり、将来ピカっと光る会社となるような素材を秘めています。
社長自身が「あるセミナーで、会社が赤字を出すということは社会の罪悪だという話を聞いて、創業以来赤字を出したことがありません」と言うとおり、借入もなく非常に財務体質の強い会社です。
一方のB社は、売上はA杜と同じ規摸で約2憶4000万円、従業員は13名。
創業44年で、現社長は2代目。
別荘の新築の他、リフォームや改築なども手広く行っています。
創業者は会長に退かれましたが、今も元気でかくしやくとされています。
実は、安全性の分析を行うなかで、この会社の「ある行動」が会社の財務状態に大きな影響を与えていたことがわかるのです。
A社とB社の貸借対照表から、両社の安全性を探っていきましょう。
安全性の指標には、大きく分けて三つのグループがあります。
第一は、短期的な支払い能力を見るための「流動比率」と「当座比率」。
第二は、長期的な安全性を見るための「固定比率」と[固定長期適合率]。
第三は、財務休質の健全性を見るための「自己資本比率」です。
五つの指標は相互に関連していますが、かならずしも同じ結論が導き出されるとは限りません。
五つの異なる視点からながめるのだと思ってください。
ある視点から見れば「安全」なのに、別の視点から見ると「要注意」というケースもあります。
決算書を複数の視点からながめ、多角的に分析することで、初めて真の問題点が見えてくるのです。
これこそ、社長夫人が決算書を読みこなす意義があります。