皆さん、おはようございます。
【これからの社長夫人は会社経営のプロになれ!】の著者で社長夫人戦力化コンサルタントの矢野千寿です。
安全性の最後の指標は、財務休質の健全性を見るための自己資本比率です。
自己資本比率=自己資本÷総資本×100
これは、安全性を分析するうえで最も重要な指標でもあります。
「自己資本比率」は、総資本に占める純資産、つまり自己資本の割合を表す指標です。
自己資本を総資本で割り、100をかけることで求められます.
自己資本比率は、数値が高いほど純資産が多く、負債が少ないことを示しています。
家計で言えば、預貯金が多くて借金が少ない状態です。
したがって、基本的には自己資本比率が高い会社ほど安全性が高く、財務体質も健全だと考えられます。
一般の基準として、40%以上なら「優」、20~30%が「良」と考えてよいでしょう。
20%未満の場合は、自己資本が不足しており、財務体質も健全な状態だとは言えません。
それでは、流動比率、固定比率ともにすばらしい数値を示したA社の自己資本比率を見てみましょう。
A杜の貸借対照表を見ると、流動負債、固定負債、純資産(自己資本)などを合計した総資本が1億1005万2000円。
そのうち純資産が7684万8000円でざっとながめただけでも
総資本の半分以上が自己資本であることはわかりますが、
自己資本比率を計算してみるとじつに69.8%に達していました。
40%でも「優」と認められる数値が約70%なのですから、
A社の財務体質は「超優良」と言えそうです。
多額の借入金のせいで資金繰りが苦しくなっているB杜はどうでしょう。
流動負債、固定負情、純資産(自己資本)を合計した総資本は2億8259万8000円.
うち純資産が6786万8000円、したがって自己資本比率は24.0%で、「良」の範囲内。
さほど悪くないことがわかりました。
B社が抱える問題は、財務体質そのものではなく、資金の流動性がないこと。
つまり、固定資産が多いためキャッシュフローが悪化していることです。
問題点がわかれば、改善すべき課題も見えてきます。
B杜の課題は、いかにして借入依存型の経営から脱却し、
キャッシュフローを重視した経営に転換するかです。
まずは、無計画な買入や設備投資をやめ、借入を減らしていかなければなりません。
そもそも総資本の増加率は売上高の増加率以下に抑えるべきですし、
投資のための借入と支払利息は減価償却可能な範囲内にとどめなければならないものです。
同時に、現金・預金を増やして流動比率を高めるため、受取手形や売掛金を減らし、棚卸資産の現金化を図ります。
とにかく、あらゆる方向から現状を見直して、使えるお金、回せるお金を増やしていく。
そうして少しずつでも資金繰りを楽にしていくことがB社の経営改善のカギとなるでしょう。