皆さん、おはようございます。
【これからの社長夫人は会社経営のプロになれ!】の著者で社長夫人戦力化コンサルタントの矢野千寿です。
日本の中小企業では、社長夫人の能力や存在意義が正しく評価されず、
積極的に戦力化されてきませんでした。
なんともったいないことでしょう。
これは、その企業だけでなく、日本経済にとっても大きな損失ではないかと思います。
私が「社長夫人革新講座」を始めたのは平成14年でした。
すでに1000人を超える社長夫人たちが受講されました。
参加された受講生のなかには、経営幹部となって立派に活躍している人が何人もいます。
ただし、同じ講座を受け、同じ勉強をしても、学んだことをほんとうに自分のものとして実践できるようになるまでの時間は人それぞれです。
本人がいくらがんばろうと思っても、社長である夫やその家族の理解が得られず、
潜在能力がありながら活躍の場を与えられない夫人もいるのです。
そのような場合には、まず社長の意識から変えていかなければなりません。
しかし、いちばん大きなネックは、やはり社長夫人自身の意識です。
私は、社長夫人が社長の経営パートナーとして、
欠かすことのできない存在になるための大前提として、
社長夫人たちに自分で決算を行うよう強く勧めています。
社長夫人のなかには、「決算の仕事くらい前からやっています」と言う人もいますが、
彼女たちが実際にやってきたのは決算業務ではなく、
日々の帳簿つけや入力作業に過ぎないことが多いようです。
もちろん、毎日の取引や現預金の状況を記録するのは、とても大切な仕事です。
この段階でミスが出たり、いい加減な処理が行われたりすると、
月次決算にも年次決算にも狂いが生じますし、
何よりも経営判断を誤る原因となりかねません。
ただし、その作業を社長夫人が自分で行う必要はないでしょう。
むしろ私は、社長夫人が行うべきではないと考えています。
日々の取引記録や処理は経理担当事務員の仕事です。
社長夫人が自分で「経理」を行うことには大きな弊害があるのです。
それは次の理由からです。
経理事務員に求められる資質と、社長夫人に求められる資質は違います。
経理の仕事でもっとも大切なのは正確さと迅速性です。
だから経理の仕事をしていると、自然と細かい項目にこだわったり、
目先の数字ばかりが気になったりするようになります。
その分、大局でものを見たり、長期的に考えることができなくなりがちなのです。
社長夫人にはもっと大切な仕事があります。
社長のパートナーとして、経営判断の手助けをすることです。
そのためには、社長同様、広い視野や長期的なものの見方が必要です。
「社長夫人革新講座」の受講を始めてから、なかなか意識改革ができなかった社長夫人でも、
2~3年経った頃、突然、スコーンとつき抜けることがあります。
大きな壁を越え、自分のやるべきことに気づくのです。
そんな社長夫人たちがまず何をするかといえば、自分で帳簿をつけるのをやめます。
代わりに部下となる経理事務員を育て、
自分は決算業務を含め経営に役立つ資料作りと
業績管理の仕組みづくりを行うようになります。
そしてやがては、経営者の視線で会社全体をながめるようになるのです。