皆さん、おはようございます。
【これからの社長夫人は会社経営のプロになれ!】の著者で社長夫人戦力化コンサルタントの矢野千寿です。
会社がどんどん利益を生み出し、純資産が潤沢な状態なら、思いきった投資もできますし、新規事業に打って出ることも可能です。
しかし逆に、損失が出ていたり、負債が多すぎる状況でさらなる借入や大きな投資を行うのは危険です。
どれくらいの投資ならできるのか、あるいは投資を見送った方がよいのか、
そうした意思決定を行う際、もっとも重要な判断材料となるのが貸借対照表であり、損益計算書なのです。
貸借対照表はその会社の「財務体力」を示すものですから、銀行の担当者が見れば、
その会社に「どれくらいの返済能力があるか」がわかります。
また、新しい取引先が見れば、「どれくらいの支払能力があるか」がわかります。
そして、その会社の経営者から見れば、現在、自分たちの会社が「どれくらいお金を使えるか」を教えてくれる、たいへん重要な資料なのです。
ところが。中小企業の経営者の多くは、貸借対照表をあまり見ようとせず、損益計算書を重視しがちです。
それも「利益」の部分ではなく、「売上」ばかりが気になるようです。
売上が上がるということは、商品やサービスが売れてお金が入ってくることですから、
帳簿が苦手な社長にもわかりやすいのでしょう。
しかし、いくら売上が増えても、そのぶん原価や経費が増えていけば、利益は残りません。
むしろ、売れば売るほど損失が増えるケースもあります。
売掛金の回収に失敗すれば、「商品は売れたのに、お金がない」という状況に陥ってしまうこともあるのです。
バブルの時代に多かったのは、お金の借り過ぎが原因の業績悪化です。
高い商品でも出せば飛ぶように売れた時代でしたから、
売上至上主義の経営者たちは、事業拡大のためにどんどんお金を借りて投資しました。
その結果、「金利」が増大し、バブルがはじけた後、利益を圧迫する大きな原因となったのです。
ある水産会杜では、銀行から借入金の返済を迫られ、やむなく4億円分の在庫を格安価格で一気に売却しました。
その結果、たしかに借入の返済はできたのですが、利益はわずか800万円でした。
経営のサイクルを回すには、売上も大事ですが、何より利益が重要です。
利益というお金がたまらないと、次のサイクルが回っていきません。
本来、大きな経営判断を行うのは経営者である社長の仕事です。
そして社長がきちんと決算書を読んでいれば、自分の会社が今、どういう状態にあるのかがわかります。
何が足りないのかもわかります。
だから、今は何をすべき時なのか、また、何をしてはいけないのかもわかるはずです。
ところが実際には、決算書を読めない社長がたくさんいます。
忙しい中小企業経営者には、財務や会計の勉強をしている時間もエネルギーもないのです。
だからこそ、社長夫人が社長に変わって決算書を読み解き、
社長が必要としている資料を作って、社長をサポートしなければならないのです。
それは間違いなく、社長夫人が組織人として会社のために果たせる非常に有意義な仕事のひとつなのです。