皆さん、おはようございます。
【これからの社長夫人は会社経営のプロになれ!】の著者で社長夫人戦力化コンサルタントの矢野千寿です。
社長はすぐにコスト削減計画を打ち出しました。
計画の中心は、生産管理における無駄の排除と人員の再配置です。
それにともなって社員の間でも危機感が高まり、意識改革が進みました。
結果はどうだったでしょう。
1年たっても売上はあまり変わらない116億円でした。
しかし、経常利益は9000万円の黒字になりました。
さらに2年後には売上が135億円まで伸び、経常利益は4億8000万円の黒字となったのです。
社長は自信を取り戻し、社内に活気が戻ってきました。
ようやく危機を乗り越えたと考えてよいでしょう。
この自勤車部品メーカーの社長夫人は、私が主宰する「社長夫人革新講座」の受講生です。
受講生の夫のなかには、自分の妻がどこで何を学んでいるのかまったく関心を示さない人もいるようです。
しかしこの会社の社長は、夫人が講座を終えて帰宅すると、
必ず「今日はどんな勉強をしてきたの?」と尋ねたそうです。
会社を立て直すことができた経営者たちは、例外なく謙虚で素直です。
そうした謙虚さや素直さは、新しいことを受け入れる柔軟性、そして自分と考え方が違う人の意見も聞き、
必要と思えば取り入れることのできる度量の広さにも通じるのではないでしょうか。
世の中には、残念ながら経営改革に失敗し、倒産してしまう中小企業もたくさんあります。
私自身、いくつもの事例を見てきました。
その経験から言えるのは、厳しい言い方かもしれませんが、「倒産すべくして倒産する会社もある」ということです。
ひとくちに中小企業の経営者といっても、実際にはさまざまなタイプの方がいらっしやいます。
倒産した会社の社長もいろいろでした。
親分肌で豪快だけれど、お金の計算が苦手な社長。
反対に、お金の計算は得意だけれど、気が弱くて依存心の強い社長。
論理的だけれど、実行力に欠けるインテリ社長。
そして、プライドばかり高く、計画どおりに行かないとすぐ人のせいにする2代目社長。
しかし、似たところもありました。
たとえば、会社を倒産させてしまった社長の多くは、人の話を聞かず、自分のやり方を変えたがりませんでした。
社員の声も、社長夫人の訴えも聞こうとせず、もちろん私のアドバイスにも耳を貸しません。
その結果、人よがりの経営が行き詰まり、気づいたときにはもう改革のしようもなくなってしまったのです。
決算書は会社の通信簿です。
そして、会社の業績は経営者の生きざまなのだと、私はつくづく思います。