皆さん、おはようございます。
【これからの社長夫人は会社経営のプロになれ!】の著者で社長夫人戦力化コンサルタントの矢野千寿です。
では、社長が求めている経営に役立つ判断材料とはどんなものでしょう。
ひとことで言えば、「先を見る」ための材料です。
社長たちにとって過去はあまり興味をもちません。
「未来のために、今、何をなすべきか」が知りたいのです。
だから社長夫人は、先が見える資料を提供しなければなりません。
しかし、決算書は過去の記録です。
どうすれば、その決算書を見て先のことがわかるのでしょうか?
たしかに、税務署に提出する決算書を見ただけでは、先など見えません。
だからこそ、社長夫人ならではの工夫が必要となるのです。
少し固い話になりますが、このへんで会計の目的と種類についてお話ししておきましょう。
一般に「会計」と呼ばれるものは、大きく「財務会計」と「管理会計」に分けられます。
まず財務会計は、外部の利害関係者、たとえば株主や取引先に情報提供することを目的としています。
なかでも、会社法、証券収引法、税法などの規制にもとづいて行われる会計は「制度会計」と呼ばれ、おおまかな形式が決まっています。
年に1回、財務諸表を作成して税務署に提出することが義務づけられている決算業務も、当然ながら制度会計の一環ということになります。
このように制度会計は、広く外部に開示することを目的としていますから、
形式や勘定科目が誰にでもわかるよう定型化されています。
税務署が納税額を決定するため、あるいは取引先や株主がその会社の安全性や収益性や成長性を判断するうえでの必要性を満たしていればよいのです。
これにより、全体的な収支状況や財務状態がわかるわけです。
これらの数字をまとめた決算書は、たとえ複数の商品や複数の部門があっても「売上」は一本です。
「仕入」も一つにまとめます。
決算書は、会社を「象」にたとえれば、象の身体の全体を見せてくれます。
しかし、会社にいくつもの部門や取引先、あるいは複数の商品がある場合、それぞれの様子まではつかめません。
その象が病気になったとしても、どこが悪いのかがわかりません。
経営を行ううえでの判断材料としては、ちょっと物足りないのです。
次に続く