皆さん、おはようございます。

【これからの社長夫人は会社経営のプロになれ!】の著者で社長夫人戦力化コンサルタント矢野千寿です。

 

中部地方の都市で水産小売業を営むE社は、創業以来30数年、地元の魚屋さんとして近所の人たちに親しまれてきました。

現在は市内に3つの店舗を構え、病院への食材納入なども行っていますから、傍目には順調な経営をしているように見えるかもしれません。

しかし、一時期、内実は火の車となり、ほとんど破綻状態になりました。

この会社も、社長夫人が「社長夫人革新講座」の受講生です。

業績が傾き始めたきっかけは、新規出店の失敗でした。

バブル末期に多額の借入を行って3店目をオープンさせたのですが、大きな赤字を背負って撤退。

結局、多額の借入だけが残り、他の2店舗の売上でなんとかカバーしようとしたものの、金利を返すだけが精いっぱいでした。

私が初めて社長とお会いした頃は、売上が3億円、経常利益は450万円ありましたが、自己資本がマイナス4500万円、1億4000万円の借入金もありました。

社長夫妻は税理士に「もうやめたほうがいい」と言われ、自宅を売る覚悟までしていたそうです。

しかし私は、まだ改善の余地があると思いました。

たしかにE社全体では、債務超過で借入金の元本が返せる状態ではありませんが、経常利益が450万円あり、赤字ではないことに一点の灯りが見えたのです。

そこで、どれだけの利益を上げればこの会社が存続できるかを計算してみました。

必要な利益を年間の借入返済額に見合った経常利益とすると、1000万円あれば守れることがわかりました。

このことを社長さんにお話しすると、会社を清算しなくても良いことがわかり安堵されたのか、今まで暗かった表情も明るくなり、前屈みだった姿勢もすっと背筋が伸びたように感じられました。

ここで大事なのは、「これならやれる!」という、一寸先の光を見せることです。

多くの社長夫人が犯しがちな行為があります。

経営が苦しくなると社長に向かい

「売上が足りません。どうするんですか?」

「資金が足りません。どうするんですか?」

と社長をますます追い詰めるような詰問をすることです。

逆に言うと、社長夫人が一寸先の前向きな可能性を見せれば、社長を救うことができるのです。

この努力はして欲しいものです。