皆さん、おはようございます。
【これからの社長夫人は会社経営のプロになれ!】の著者で社長夫人戦力化コンサルタントの矢野千寿です。
経営分析のテーマはいくつもあります。
一般的には、損益計算書を中心に「収益性」の分析から始めることが多いでしよう。
中小企業でも、創業期にはとにかく利益を上げてビジネスを軌道に乗せなければなりませんから、やはり収益性の分析を重視すべきです。
しかし、経営が軌道に乗り、投資や借入が始まってからは、「安全性」の分析がもっとも重要になります。
安全性は、会社の支払い能力と財務体質の健全性を知るための指標です。
安全性が高い会社ほど財務体質が良好で、資金繰りも楽ということになります。
カギとなるのは「キャッシュフロー」つまり、お金の流れです。
中小企業に多い「黒字倒産」は、利益が出ているはずなのに現金がないことで発生します。
そんな事態を避けるためにも、貸借対照表をもとに安全性の分析を行って、自分の会社の流動資産の状況を知らなければなりません。
中小企業経営ではキャッシユフローの強化が第一なのです。
理想的には、売上3ヵ月分程度の現預金の備えが必要です。
社長夫人のなかには、毎日の資金繰りにさえ苦労している人も多いことでしょう。
「売上3ヵ月分」などと言えば、「そんなに貯められるわけがない」と思われるかもしれません。
しかし、万が一の備えとしては必要なのです。
資金繰りの源泉は毎月の売上です。
仮に、売上代金を回収できるのが翌月末だとしましょう。
一方、借入金は毎月、返済しなければならず、90日決済で振り出した支払手形を決済するためには3ヵ月先までの資金が必要だとします。
この会社が突然、大地震に見舞われ、1ヶ月間、営業できなくなったらどういうことになるでしょう?
その月の売上は0円です。突然、翌月、回収できる売掛金も0円です。
営業再開しても、しばらくは以前ほどの売上が見込めないかもしれません。
しかし、固定費の支払いや借入金の返済、手形の決済は待ってくれません。
蓄えていた現金や預金を取り崩すしかないでしよう。
だとすれば、やはり最低でも2ヶ月分の運転資金は必要です。
これに1ヶ月分の余剰資金を加えて、売上3ヶ月分の蓄えはほしいという話になるのです。
3ヶ月分の現預金が貯まるまでは、極力、出費を抑えなければなりません。
次回に続く