皆さん、おはようございます。
【これからの社長夫人は会社経営のプロになれ!】の著者で社長夫人戦力化コンサルタントの矢野千寿です。
たとえば、ある会社が行った設備投資の話をしましょう。
その会社は金融機関の応援もあって工場を改築することになりました。
そのために8000万円の借入を行いました。
8000万円を10年で返済すると、元本の返済額800万円に利息を加えた約950万円の資金が必要になります。
実際にはこれだけ必要なのですが、150万円の支払利息は営業外費用として
処理されるので、ここでは800万円の返済額のみを対象にします。
では、このとき経常利益はいくら必要になるでしょうか?
借入金800万円の返済は晨終的な利益(当期利益)から支払われることになります。
当期利益を求めるには、厳密に言うと課税所得金額に税率をかけたものを
税引前利益から引いて求めることになりますが、
計算式を単純にするため税率をかける課税所得金額
ならびに税引前利益は経常利益とみなします。
また税率は40%とします。
当期利益から逆算して経常利益を求める計算式
当期利益=税引前利益-(課税所得金頷×税率)
ここで計算式を単純化するために税引前利益および課税所得金額を経常利益とみなします。
当期利益=経常利益-(経常利益×税率)
800万円=経常利益-(経常利益×40%)
800万円=経常利益(1-0.4)
経常利益=800万円÷(1-0.4)=約1333万円
つまり、税金を含めて約1333万円の経常利益が必要となります。
この会社は売上が6億円あり、経常利益も2400万円ありました.
しかし、今までの借入金の返済が年間2000万円あったので、
新たな借入をすれば返済金は年間2800万円になります。
これだけの返済をするためには経常利益がいくら必要かというと、
経常利益=2800万円÷(1-0.4)≒4666万円
これだけの経常利益を出さないと返済資金が不足するということです。
経常利益が2400万円しかないのに、
新たな借入をすると2266万円(4666万円-2400万円)も不足するということです。
この会社は8000万円もの投資を行うには、体力的にも、体質的にも脆弱すぎたのです。
次回に続く