仕入や在庫の適性度がわかる~ある工務店の事例~

皆さん、おはようございます。

【これからの社長夫人は会社経営のプロになれ!】の著者で社長夫人戦力化コンサルタント矢野千寿です。

 

ある工務店の社長は50歳代。

中学を卒業すると大工の見習いになり、そこからたたき上げた生粋の職人です。

純和風の建築にこだわりながら、地域の中堅建設会社の下請けとして経営を続けてきました。

工事売上高は1億8千万円、粗利益率(売上総利益率)は18%。

経常利益はほぼゼロに等しい状態で、現預金は100万円。仕掛品はゼロでした。

問題点は、かなり離れたところにある作業場で見つかりました。

大きな材木の山が4つもあったのです。

概算で1000万円はあると推測されます。

長期間積み上げたままにしておいたために、材木は黒ずみ、中にはかなりいたんでいるものもありました。

使えなくなったものは毎日、薪にして燃やしてしまう。

私には、お札を燃やしているように見えます。

決算書に現金がないのもうなずけます。

安いという理由で材木問屋からまとめて買うので、余った分がムダになったのです。

倉庫には床の間に使う柱が何本も立てかけてありました。

問屋から6本単位で買うと単価が1万円、1本だけ買うと1万5千円と5割も違う。

それで6本ずつ買っていたのですが、ここに落とし穴があります。

この工務店が手がけているのは同じ規格の住宅を何棟も建てる住宅団地ではなく、

注文住宅ですから、そのつど床柱は1本あればすみます。

6本まとめ買えをすれば必ず余り、それが長期の在庫になり古くなると廃棄される。

安く仕入れたつもりなのに、4万5千円が余分な支出となり、かえってコスト高になっている。

このことに気づかないまま経営してきました。

ここまでわかれば、改善策はすぐに出ます。

たとえ割高になっても、必要なものだけを仕入れる。

まとめると安いからといって、ムダな仕入れはしない。

これを徹底することです。

併せて、次のようなことを実行しました。

・その日の取引は、必ずその日に処理すること(経理の日次処理)を習慣化する。

・原価意識を高め工事ごとの利益を把握するために、工事実行予算書や工事台帳を整備する。

・月ごとの決算報告を徹底する。

これによって、粗利益率は25%、経常利益は1千万円という成果を生みました。

仕入れを目先の価格だけで判断すると、えてしてムダなもの、ムダな量まで仕入れることになります。

余れば在庫として残り、やがて廃棄処分になる。

廃棄するのは、見かけはモノですが、実質的にはお金です。

数字への意識、コスト意識が強ければ、こんなムダはしないはずです。