皆さん、おはようございます。

矢野千寿です。

社長夫人が、出過ぎとは逆に、引き過ぎでも困ります。

何十年と経理を担当してきて、毎日の入金や支払いを入力して支払い計画を立てるということをずっと繰り返してきた社長夫人がいます。

どんな会社でも、経理に関して何か改善の余地がある、問題点があるはずなのに、彼女は自分からそれをしようとしない。

問題を見つけようという気持ちすらない。

社長に言われたことを言われたとおりにすることを百年一日の如くに続けているだけです。

これが引き過ぎの典型的な例です。

これでは社長にとって頼りになりません。

何を言っても、その通りにするにはするけれど手応えがない。

相談を持ちかけても何も返ってこない。

暖簾に腕押しです。

ビジネスパートナーとはとても言えません。

社長をイライラさせるだけです。

これでは、むしろマイナスでしょう。

ひとつには、経営の一角を担うという意識がないせいで引き過ぎになります。

ビジネスパートナーになるのなら、経営陣のひとりです。

それだけの責任をともなうのに、責任感が希薄なのです。

だから積極的に動かない。言われたことを「はい、はい」と言ってこなすだけになります。

このような社長夫人は、経営陣としての自覚を持つという基本に立ち返ってください。

性格的なことが「引き過ぎ」の背景になっていることも多いようです。

マイナス指向で消極的な性格の人は、自分を出さず、人の後についていくだけになります。

「自分がない」人。

つまり、会社のことに限らず人生全般に「こうしたい」「あれがしたい」という欲求や欲望が極端に乏しくて、周囲の人やものごとに流されるままに生きている人、主体性のない人も前に出られません。

自分に欲望がないのでは、自分から人に何をしてあげたらいいかもわからないでしょう。

社長のビジネスパートナーになろうとするなら、こんな性格や生き方を少しでも変える必要があります。

生まれつきの性格や気質は他人がどうこうするのはむずかしいのですが、私の経験から、ひとつアドバイスできることがあります。

自分が「したい」「やってみたい」ことをどんどん書いてリストをつくることです。

内容は何でもかまいません。

「もっと明るく生きたい」といった抽象的なことでも、「パソコンを使えるようになりたい」という具体的なことでも、どんな細かいことでもかまいません。

少しでも「したい」という気持ちを伴って心に浮かんだことは、すべてメモします。

改まって「私は何をしたいのか」と考えるとかえって出てこないものです。

もっと気軽に、何かをしているとき、ぼんやりしているとき、会社や買い物の行き帰りなどに思いついたことを書き出すのです。

毎日、ひとつでもかまいません。

1カ月続ければ、30の項目が並びます。

これを続けていると、しだいに気持ちが前向きになります。

文字として並べてみると、自分の考えていることがはっきりします。

前に書いたことがヒントになって、新しい展開を見ることもあります。

もともととても消極的だったある社長夫人に、この作業を勧めたことがあります。

どうやら、まじめにこの作業をしたようで、一カ月ほど経ってから会ったら、

「あれはすごくよかった。自分の気持ちがだんだん変わり出しました」と話してくれました。

私自身が折りに触れてやっていることをアドバイスをしたのですが、思った以上の効果があったようで、私のほうも驚きました。

ある程度のリストができたら、それを読み返して、まとめてみると、次第に自分のやりたいことがはっきりするはずです。