皆さん、おはようございます。

【これからの社長夫人は会社経営のプロになれ!】の著者で社長夫人戦力化コンサルタント矢野千寿です。

 

会社は何のために存在するのでしょう?

私はいつもこう答えます。

「会社を経営する目的は、社長の夢と社員の幸福の実現です」

あら、それじゃあ私の夢はどうなってしまうの?

私の幸福はどうでもいいの?

社長夫人のなかには、こんなふうに思う人もいるかもしれません。

でも、考えてみてください。

社長の夢が現実のものとなり、社員がみんな幸せな生活を営めるとしたら、社長夫人にとってもこれほど幸せなことはないでしょう。

そのためにも、社長夫人としての役割や心得を学び、会社のため、社員のためになすべきことを学んでください。

そして、社長のパートナーとして役立つために必要な知識や技術を学びましょう。

それらは、社長夫人が社長をしっかりと支え、会社を成長させ、社員やその家族たちの幸福を実現するための強力な武器となるはずです。

ここで悲しいエピソードをご紹介したいと思います。

社長夫妻が自分たちの役割や立場を誤解し、経営に関する知識も足りなかったために、両親から引き継いだ会社を倒産させてしまった話です。

社長夫人に頼まれて、初めてその会社の決算書を見たとき、私は愕然としました。

数年前から業績が傾いていることはあきらかで、ほとんど危機的な状況にあったのです。

それでも何とかもっていたのは、人件費が極端に低く、社員の平均年収が300万円に満たなかったためです。

30歳以上で扶養家族のいる社員も多いというのに、そんな年収では食べていくだけで精一杯でしょう。

さらに驚かされたのは、社員を低賃金で働かせていながら、社長夫妻が二人合わせて2400万円もの役員報酬を受け取っていたことでした。

「これは、おかしい」と私は説明しました。

ただでさえ経営が悪化しているのに、こんな高額な役員報酬を出していたら、あっという間に破綻してしまいます。

社員が頑張って働くはずもありません。

会社の理念も何もない。

忠誠心どころの話ではない。

社員にとっては、生活できるかどうかの瀬戸際だというのに・・・

しかし、社長には私が言っている意味がわからない様子でした。

創業者一族である自分たちは特別だという意識をぬぐい去ることができず、高額な役員報酬を受け取るのは当然だと思っていたようです。

1年半後、その会社は倒産しました。

そのとき、社長夫人が初めて口にした言葉が忘れられません。

「自分たちは何も勉強せず、何の努力もせず、無知なままに会社を経営してきた。

その結果、親から引き継いだ会社を倒産させてしまいました」

企業の経営者には、それなりの社会的責任があります。

社長夫人は、その責任を社長と共有しています。

「知らなかった」では済まされないこともあるのです。

コロナウイルスによって、中小企業にとってこれから益々厳しい状況が続きます。

社長夫人の苦悩はさらに続くでしょう。

問題や課題も山積していることでしょう。

でも、考えようによっては、次々に課題に立ち向かえることは幸せなことです。

問題を一つ解決できたからこそ、次の問題にとりかかれるのですから。

一つひとつ問題を解決し、結果を出しながら、次に進んでいく。

そんなところにこそ、社長夫人としての感動や喜びがあり、幸福があるのではないでしょうか。

ぜひ、貴女なりの「社長夫人の幸福」を見つけてください。