皆さん、おはようございます。

矢野千寿です。

例えば、資金繰りがうまくいかなくて、資金が足りなくなった場合のことです。

「社長、お金が足りませんよ!」

「社長、お金が足りません。もう少し売上げを上げてもらわないと」

これでは、社長を責めるニュアンスがあからさまです。

社長のやり方が悪いから、こういうことになったと言っているようにさえ聞こえます。

社長の怒りを買っても仕方がない言い方です。

ものには言い方があります。

同じ内容でも、言葉を変えれば当たりもソフトになるし、耳触りがよくなります。

言葉を選びましょう。

同時に、言い放しではなく、言葉を尽くすこと、一歩踏み込んだ説明をすることも大切です。

次のような言い方なら、どうでしょう。

「今月、○○円の支払いがあります。今の予想からすれば、これだけの収入予定があるんですけど、あと××円不足します」

同じように「お金が足りない」と訴えるのでも、印象がずいぶん違います。

このあとに続ける言葉も、「何とかならないでしょうか」よりは、「どうしたらよいでしょうか」のほうが聞きやすいものです。

できれば、もう一歩進めて、自分で対策、解決策を考えて話します。

「この売掛金が滞っているから、これを回収してもらえばなんとかなりそうです」

「このあたりでもう少し売上げをアップしてもらえると、楽になります」

「定期預金を取り崩して、穴埋めをしましょうか」

「どうしても無理なら、銀行から借り入れしましょうか」

自分なりの考えを示して、社長に投げかけるのです。

これなら、社長も真剣に受け止め、対策を講じようという気になるのではないでしょうか。

言葉遣いは、心の表れです。

社長を責めるような口調になるのは、

社長夫人が

「資金繰りのことは自分ではなく、社長の責任」

「社長のやり方が悪いから、こんなことになっている」

などと思っているからです。

それが無意識に言葉に出てしまうのです。

経営を社長と共に担っているという意識がないのです。

本質的な問題は、言葉遣いではなく、この身勝手さ、無責任さにあります。

社長との共有という部分がしっかりしていれば、これが自然に言葉遣いに表われるものです。