皆さんこんにちは、矢野千寿です。

自分の話を聞いてもらえることは、誰にとってもうれしいものです。

自分の存在や話が認められていると感じて自尊心が満たされます。

腹が立つことや心配なことがあるときは、人に話を聞いてもらうだけで気持ちがすっきりします。

悩みなどは、話を聞いてもらううちに考えの整理ができて解決策が見つかることさえあります。

「聞く」ことは一見受動的な行為ですが、コミュニケーションの手段として重要な働きをするのです。

いつも苦虫をかみつぶしたように不機嫌な社長が、話を聞いてあげるだけでご機嫌になるという例を、私はいくつも体験しています。

社員も例外ではないでしょう。

社長夫人は、聞き上手になってください。

社員が話しかけてきたら、きちんと耳を傾けます。

結論を急いだり、反論したり、自分が話を引きとってしまったりしないで、聞き役に徹します。

社員の立場に立ち、社員の気持ちに寄り添って話を聞きましょう。

社員が打ち解けてくるほど、本音を聞けるようにもなって社員に対する理解が進み、それぞれの性格や気質に合った育て方ができるようになります。

気安く話せるようになった社員が、会社や社長に対する不平不満を社長夫人に訴えてくることがあります。

単に社長夫人を不満のはけ口にしていることもありますが、「自分の言い分を社長に伝えてほしい」という気持ちで話すこともあるはずです。

社長夫人に言えば、うまく社長に話してくれるだろうと期待しているのです。

社員の不平不満を社長にどう伝えるか。なかなか難しいところです。

「誰々が、こんなことを言っていましたよ」などと、社員の言葉をそのままストレートに伝えると、社員に不利になるという意図しない結果を招くことがあります。

告げ口になってしまうのです。

そのせいで社員が社長に怒られたりしたら、社長夫人への信頼感は完全に吹き飛びます。以後、心を開いて話すことはなくなるでしょう。

家庭の中で父親と子どもの間に立って、子どもの言い分を聞いて、父親に伝えるのは母親の役目です。

子どもが言いたいことの本質を聞き分けて、そのうえで慎重に言葉を選んで父親に伝えようとするでしょう。

母親は、父親と子どもの間の調整役です。

会社でその役目をするのが社長夫人です。

社員の言葉をよく消化して、「何が言いたいのか」を理解し、それを社長夫人の言葉で社長に伝えるのです。

社員にプラスになることは別にして、批判や不満などはどの社員が話したかを伝えないほういいでしょう。

社長夫人自身が考えたり、感じたりしたこととして話せばよいのです。