「売上を伸ばそう」というときには、直線的にひたすら数字を上げるよう努めます。

 

手段としては、「製品をたくさん売る」ことにつきます。

 

「利益を伸ばそう」というときには、それほど単純にはいきません。

 

利益は、売上から仕入れや製造にかかった費用(売上原価)を引いた残りですから、

 

売上を伸ばすことで利益を伸ばすという直接的な方法とは別に、

 

売上原価を下げることで利益を伸ばす方法もあります。

 

前にお話しした「利益の取りこぼしをなくす」のも、利益を伸ばす方法の一つです。

 

利益アップは、その手段を多角的に検討すると実現しやすくなります。

 

年商35億円の食肉卸会社があります。

 

大きな赤字を出していたのですが、それを半年で改善しました。

 

「粗利益率1%アップ運動」を実行したからです。

 

比率にすると、わずか1%ですが・・・

 

35億円の1%アップですから3500万円の上乗せです。

 

決して小さくない数字です。

 

粗利益率1%アップをどうやって達成するか?

 

製品の値段を1%上げるのは、てっとり早い方法です。

 

1000円の製品なら1010円にする。

 

わずか10円とはいえ値上げですから、顧客に受け入れてもらいにくい。

 

営業社員からは強い反対がありました。

 

10円を一つの方法だけで上げようとするから難しいのです。

 

売上で3円上げて、仕入れで3円落とす。

 

さらに、ほかの経費で4円節約して、トータルで10円値上げと同じ結果を出す。

 

このようにすれば、どうでしょうか?

 

 

値上げも3円(0.3%)なら、営業部も何とかしてくれるでしょう。

 

原価は、仕入れ部が頑張って交渉して3円(0.3%)安くしてもらう。

 

経費は、全員で知恵を絞って、ムダを見つけ、それをなくすことで4円(0.4%)下げる。

 

これを集約すれば、粗利益率を1%押し上げることになります。

 

この結果、半年間で、毎月借りていた運転資金が不要になり、利益が出せるようになりました。

 

利益を上げるには、売上だけで考えず、仕入れや経費も含めて総体的に考えることです。

 

「木を見て森を見ず」でも「森を見て木を見ず」でもなく、「森を見て木も見る」で検討するのです。

 

「たかが1%、されど1%」です。

 

「できそうだ」と思えば、社員はやる気を起こします。

 

いきなり大きな成果をねらうのではなく、小さな目標を小刻みに実現していけばいいのです。

 

コツコツ積み上げていくことが、結果的に大きな成果を呼び込むのです。

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