経営の数字や指標は、会社の現状や推移を見ることに使うばかりでなく、

 

同業他社と比較して会社の状態を判断するのにも役に立ちます。

 

何年にも渡ってバランスのいい経営を続けてきた会社があります。

 

収益性も高いし、財務内容もいい。

 

社長の経営手腕のよさを感じる会社でした。

 

ところが、経営指標を出して、業界の平均値と比較すると、問題が見つかりました。

 

「総資本回転率」という指標の数字が業界平均より低かったのです。

 

総資本回転率とは、

 

売上高を総資本で割った百分率で、売上をあげるのに会社の資本が何回回転させたかを示す指標です。

 

回転数が多いほど、効率よく資本を使っていることになります。

 

この指標が低いことは、会社の体力を少しずつ消耗していることを意味します。

 

この会社の社長夫人は、数年前から、

 

「どうも、会社がもたついているような感じがしている」ともらしていました。

 

なんとなく勘が働いていたのです。

 

会社は順調に見えたので、単なる思い過ごしかもしれないと思っていたのが、

 

他社や業界と比べて問題点が見つかったのです。

 

不安が的中したのです。

 

問題点が見つかれば、後は改善策を講じればすみます。

 

経営が悪化する前に問題を見つけたことは、むしろ幸運だったというべきでしょう。

 

一般に手に入る経営指標としては、中小企業庁が発表する「経営指標」や、

 

税理士と公認会計士の全国組織TKCが発表する「TKC経営指標」があります。

 

どちらも業種ごとに細かく分析、記載されています。

 

この経営指標は、黒字を出している優良企業の平均的な数字であることに注意してください。

 

全体に高い水準なのです。

 

平均値よりよければ、それを基準にさらに伸ばそうと考えればいいのです。

 

平均値より悪ければその原因を探って改善します。

 

「同業他社にできているのだから、うちでもできるはずだ」という気持ちは励みになります。

ネットでも学べる特別講座

これからの社長夫人は財務分析のプロになれ!