経営の数字について踏み込んでみましょう。

 

経営状態を分析、把握するために、計算するのが「経営指標」です。

 

割り算で計算し、数字は百分率で表します。

 

経営指標には、安全性に関するもの、成長性に関するもの、生産性に関するもの、収益性に関するものがあります。

 

経営指標の考え方はいろいろありますが、

 

私は、会社経営の現場では、以下にあげる順番に重要な指標と考えています。

 

1)安全性

 

収入と支出のバランスがどうか、資金繰りが安定しているか、ということです。

 

流動比率、自己資本比率、固定比率などの指標がありますが、もっとも重要なのは、当座資産の合計額と借入金返済額のバランスです。

 

当座資産とは、現金、預金、売掛金、受取手形、それに株などの有価証券を指します。

 

どれもすぐに資金になるものです。

 

これらの合計額が、月ごとの借入金返済額の何カ月分あるか、ということが指標になります。

 

当座資産の合計額を毎月の返済額で割れば計算できます。

 

多くの中小企業では、1カ月分しかないので、いつもアップアップしています。

 

今月の支払いが終わったと思ったら、すぐに翌月の支払いの心配をしなくてはならない。

 

余裕がありません。

 

せめて返済額の2~3カ月分以上の当座資産を持っておきたいものです。

 

これが目安です。

 

 

当座資産と借入金返済額(流動負債)のバランスを示す指標は、一般に「当座比率」と言います。

 

2)収益性

 

使ったお金(資本)に対して、どれだけ利益を生み出したか、ということです。

 

収益性を表す指標は細かく言うと30近くもありますが、

 

私がもっとも重要と考えるのは、「自己資本利益率」です。

 

自己資本とは、資本金、法定準備金、剰余金を合計したもので、

 

貸借対照表の「資本の部計」あるいは「資本合計」の項目に金額が記入されています。

 

経常利益を、この自己資本で割った百分率が自己資本利益率です。

 

会社によって20%のところもあれば、3~5%のところ、中にはマイナスのところもあります。

 

一般的には、10~15%であれば、よい経営状態と言えます。

 

3)生産性

 

人やモノやお金をどのくらい使って、どのくらいの売上げや利益をあげたか、ということです。

 

売上高を従業員の数で割って出す「従業員一人当たり売上高」が代表的な指標です。

 

これによって、人的生産性、つまりマンパワーの度合いを判断します。

 

売上や利益が伸び悩んでいるとき、その原因を探るのに、この指標が役に立ちます。

 

社員の数や配置、能力やモチベーションなどの状態がこの指標で評価できます。

 

4)成長性

 

文字通り、どのくらい成長しているか(していないか)ということです。

 

売上高について、3~5年遡って現在までの推移を見れば容易に判断できます。

 

私がよく使うのは、昨日説明した4つの指標(安全性、成長性、生産性、収益性)ですが、これだけでも経営の判断には有効です。

 

あなたの会社でも、問題があったら、これらの数字をはじき出してみましょう。

 

どこに原因があるか、どういう解決策があるかを探る有力な手がかりになります。

 

例えば、3年前に3億円だった売上が少しずつ落ちて、現在は2億5千万円となったとします(成長性)。

 

まず考えるのは、以前の体力に戻すこと。

 

つまり、3年前の水準まで盛り返すことです。

 

それにはどうするか?

 

これが最初のテーマになります。

 

成長性に関連が深いのは、生産性です。

 

そこで、一人当たりの売上高を出して検討してみます。

 

「資金繰りが苦しい」と感じたら、当座資産と借入金返済額をバランス(安全性)を見ます。

 

「当座資産が返済の1カ月分もない」などといった形で、「苦しさ」が数字ではっきりわかります。

 

苦しさの原因は利益が出ないことにあります。

 

自己資本利益率を計算して収益性をチェックし、さらに成長性や生産性を見て改善策を探ります。

 

毎月、あるいは毎年、決算書から上のような経営指標を計算して表を作成すると、経営に役立つ資料として使えます。

ネットでも学べる特別講座

これからの社長夫人は財務分析のプロになれ!