会社が存続できるかどうかは、粗利益の金額、つまり粗利益額がどのくらいあるかで決まります。

 

人件費、事務費、販売のための費用、借入金の返済額や利息などはすべて粗利益で賄わなくてはなりません。

 

粗利益額は、これらの合計額を満たしていることが最低条件です。

 

それだけの粗利益額が必要なのです。

 

この「必要」ということにこだわってください。

 

必要な粗利益額は、

 

損益計算書から勘定科目の金額を拾い出して合計すれば出ます。

 

次に、これだけの粗利益額を上げるには、どのくらいの売上高が必要か計算します。

 

前年の粗利益率(粗利益額を売上高で割った割合)を計算し、

 

今年も同じ率と仮定して、粗利益額を粗利益率で割ると必要な売上高が出ます。

 

これが今期の目標になります。

 

必要な粗利益額から逆算して必要な売上高を出す方法は、

 

単に「前年の1割アップ」といった売上目標の決め方より合理的です。

 

前年対比を基準にした売上目標では、決算をしないとどのくらいの利益が上がるのかがわかりません。

 

しかし、粗利益額からの逆算なら、「これだけの売上をあげれば、必要なだけの粗利益額を確保できる」と初めからわかっています。

 

あとは、目標とした売上高をいかに達成するかを考え、経営すればいいのです。

 

粗利益額から逆算した売上高が、達成不可能な数字になることがあります。

 

たとえば、前年対比で5割アップしなくては達成できないというケースです。

 

一度にやろうとして無理をするのは禁物です。

 

どこかでひずみが出て、あとあとまでダメージを残します。

 

単年度で無理なら、少し長いスパンで達成するように考えればいいのです。

 

1年で無理なら、2年、3年かける。

 

場合によっては5年かけてもいい。

 

目標達成に向けてのステップを明確な数字で表すことが重要です。

 

粗利益については、金額ではなく、粗利益率という指標で判断することもあります。

 

粗利益率は、売上高を粗利益額で割って百分率で表した比率です。

 

この比率が高いことは、効率よく利益を上げていることを示します。

 

この比率は高いほどよいのは言うまでもありませんが、経営姿勢を反映するので会社によってバラツキがあります。

 

付加価値の高い商品を売ることを重視している会社では、粗利益率は60~70%もあるところがあります。

 

その一方、売上志向で量をたくさん売ることを重視している会社では10%程度のところもあります。

 

粗利益率がいくら高くても、会社に必要なだけの金額に達しなければ将来は明るくありません。

 

借金があって返済に回すだけの粗利益額を出せなければ、利息がかさむだけです。

 

粗利は、まず額を考え、次ぎに率を見る、という順序がよいと思います。

 

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