新製品の売り出しや特別セールのときなど、お客様にダイレクト・メールを送る機会は多いものです。

 

DMを出すには切手代がかかります。

 

一般の会計では、切手代は通信費として扱うので、DMの切手代も通信費として計上します。

 

おそらく、皆さんの会社でもそうでしょう。

 

会計事務所からも、そのように言われるはずです。

 

私は、少し違う考え方をします。

 

DMの切手代は、普通の書類を送るための切手代と同じでしょうか?

 

どちらも郵便物を送るための費用という点は同じですが、DMと普通の書類では性格が違います。

 

DMは販促のために出すものであるのに対して、普通の書類は連絡のために送るものです。

 

書類の切手代は通信費でかまいませんが、DMの切手代は販促費として扱うほうが妥当ではないでしょうか!

 

単なる連絡は、それがきちんと行なわれれば、それで終わりです。

 

それ以外のことは派生しません。

 

販促活動の一環として行なうものなら、それによる効果が問題になります。

 

どんなDMを、どのくらい出したら、どのくらい売上げに貢献したかということです。

 

それを数字で判断する必要があります。

 

DMの切手代を通信費に繰り入れると、販促の費用として計上されず、効果を判断できなくなります。

 

よく「販促費は売上げの○%が理想」などと言いますが、

 

DMの切手代を通信費にしては、販促費の割合を正確に計算することもできません。

 

会計の原則に反してまで、「DMの切手代は販促費として計上してください」と主張するのは、それだけの理由があるのです。

 

経費の扱い方には、形態別と目的別の2つの考え方があります。

 

現在の簿記会計の原則は形態別ですから、DMの切手代は「通信費」になります。

 

目的別なら、「販売促進費」という勘定科目になります。

 

会社を経営するという観点からは、形態別ではなく目的別にとらえるほうが適しています。

 

会社のお金を使うのには目的があります。

 

「販促のため」「宣伝のため」「人脈をつくるため」など、なんらかの目的でお金を使います。

 

目的のない経費、目的がはっきりしない経費はムダ遣いです。

 

お金を使うときは、常に「何のためか」を考えることは、よく言われる「コスト意識を高める」ことにもつながります。

 

経費については、「攻めの経費」か「守りの経費」かという視点も大切です。

 

売上や利益を上げるための経費が攻めの経費、会社組織を維持、運営するための経費が守りの経費です。

 

例えば、販促費は攻めの経費、福利厚生費は守りの経費です。

 

先の例で言えば、DMの切手代は攻めの経費、書類の切手代は守りの経費です。

 

この点でも、DMの切手代と書類の切手代では性格が異なります。

 

交際費も、本来は攻めの経費です。

 

新しい取引先を探したり、そのために人脈を広げたり、取引先と親睦を深めたりするために使うお金です。

 

単に社長が飲んだり食べたりすることに使ったのでは攻めの経費とは言いにくい。

 

社長のポケットマネーから出すのが適当でしょう。

 

人件費にも攻めと守りがあります。

 

新入社員の給与は、攻めの人件費です。

 

給与の総支給額に法定福利費、福利厚生費、教育費、諸費用などが加わるので、会社は総支給額の約2倍の負担をしています。

 

新入社員がそれだけの仕事をするか、それだけの利益を出すかといえば、それは不可能です。

 

それでも会社が雇うのは、一人前の社員として育ってそれなりの利益を会社にもたらすと期待できるからです。

 

新入社員の人件費は、いわば将来への投資です。

 

すべての社員の人件費が「攻めの経費」になれば理想的です。

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