こんにちは、矢野千寿です。

社長夫人はほめるストロークで社員の能力を伸ばしてください!

ある社長夫人の印象的な言葉を覚えています。

「私は、ちょっとでも主人(社長)にほめられると、とてもうれしい。
頑張ろうという気になる。
だから、私も、いつも社員をほめようと思っている」

ほめることは、心理学で言うストロークの一つです。

ストロークとは、人に対する働きかけのことで、具体的には体に触れる、抱きしめる、挨拶するなどといったことです。

人の存在や価値を認める意味を持ちます。

ほめることは肯定的ストロークで、それをしてもらった人は、「自分の価値を認められている」「自分は大事にされている」という喜びを感じ、心が豊かになります。

やる気を高め人を成長させるストロークです。

叱ることもストロークの一つですが、否定的なストロークなので、叱られるといやな気持ちになり、やる気や自信を失います。

ときには叱ることも必要ですが、ほめる回数が多いほど叱る効果があります。

ふだんほめていると信頼関係ができるので、気まずさを感じないで叱ることができます。

相手も、「いつもほめられているのに叱られたのは、それだけ理由があるからだ」と納得します。

どんな小さなことでもいいから、社員をほめましょう。

「いいことをしたな」「頑張っているな」と感じたら、それをほめます。

目に見えるような成果をあげた社員をほめるのは当然として、

目立たずコツコツ努力している社員、

人の嫌がることを進んでしている社員、

ミスなく仕事を続けている社員などもほめる対象です。
「社員をほめてください」と話すと、「うちの社員は皆、半人前だから、ほめるところなどない」と反論する社長がいます。

社長夫人は、そうであってはいけません。

半人前でも「半人前だけできていること」をほめます。

ものは考えようです。

「決断力がない」は「慎重な性格」と言えるし、「仕事が遅い」は「ていねいに仕事をする」ととらえることができます。

ほめるには、社員のよさを感じることです。

そして、それを言葉や態度で伝えることです。

私が師と仰ぐ人と食事をして店を出たときのことです。

その人が空を見上げて、「矢野さん、お月様がきれいですよ」と言われた。

その瞬間、私は「なんと気障な言葉だ」と思いましたが、よくよく考えてみて、すごく大事なことを教えていただいたと気づきました

ひとつは、感受性、ものの感じ方の大切さです。

きれいなものをきれいと感じなければ感動はありません。

社長夫人の皆さんも、感じることを大切にしてください。

「相手のいいところを見よう」「いい面を感じよう」と意識して社員に接してください。

社員のよいところを敏感に感じ発見する訓練をするのです。

もうひとつは、感じたことを人に伝えることの大切さです。

いくら「月がきれいだ」と感じても、言葉にしなければ人に伝わりません。

感動していることが相手にわかりません。

ほめたいところを見つけたら、それを伝えてください。

素直に言葉に出してほめてください。

ほめ言葉をかければ、社員は、「社長夫人は、自分を見てくれているな」「ちゃんと評価してくれる人なんだな」とわかります。

そういうことの積み重ねで、信頼ができていくのです。

私は、「お月様がきれいですね」のひと言はコミュニケーションの原点だと考えています。

人をほめることは、人を輝かすことでもあります。

ある社長夫人は、次のように話しています。

「縁あってうちの会社に入った人は、私を通し、潜在能力を引き出し、輝かし、

そして私を超えさせ、送り出す。

これが社長夫人の役目だと思います。

自分が輝くのではなく、周りを輝かせることが大切です」

社長夫人の人材育成の根本を表す名言だと思います。